【価格高騰中】ポルシェ911 997中古で買うなら前期か後期か?違いを比較してみた

こんにちは、ひでよしです。
ポルシェで働いて12年のディーラーマンで、メカニックもやっていました。
そんな私が、ポルシェ997型の911を中古で買うなら前期と後期どちらがお得なのか、その違いも含めて比較していきたいと思います。

まず、いつも通り結論から申し上げますと、現在ポルシェ997型911を中古で購入するのであれば、
金額を優先するなら前期、性能を重視するなら後期といったところでしょうか。
あまりおもしろくない回答になってしまっているかもしれませんが、それらの違いについて詳しく説明していきます。

そもそも997型のポルシェ911ってどんな車?

まずは、997型の911はどんな車なのか、簡単に説明したいと思います。
ポルシェ997型の911には、2004年から2012年にかけて第一世代(997.1 前期)と第二世代(997.2 後期)があります。
第一世代は、2004年から2008年までの期間に販売され、第二世代は2009年から2012年までの期間に販売されました。
※ただし一部モデルを除く

997型はポルシェ911シリーズの6代目にあたり、先代の996型911から細部を改良したモデルです。
先代モデル996型に比べ、外観はより古典的なデザインに戻され、内装も高級感を増したものとなっています。

また、カブリオレやタルガ、クーペなどのボディタイプがあり、多数のグレードがラインアップされました。
エンジンは水平対向6気筒エンジンが搭載され、排気量は3.6リットルまたは3.8リットルで、最高出力は325馬力から415馬力に向上しました。
トランスミッションは997型前期では6速MTまたは5速Tiptronic Sオートマチックトランスミッションが用意されており、
一部のモデルにはPorscheのPASM(Porsche Active Suspension Management)システムが搭載されていました。

997型後期にはPDK(Porsche Doppelkupplung)と呼ばれる7速デュアルクラッチトランスミッションが導入されました。
PDKは、従来のTiptronic Sオートマチックトランスミッションよりも高速でスムーズなシフトが可能で、
スポーティーな走りを実現するために開発されたトランスミッションです。
PDKモデルは3.6Lエンジン搭載車と3.8Lエンジン搭載車の両方に設定されています。

また、997型911には多数の派生モデルがあり、例えば、GT3やGT3 RSといった高性能モデルや、タルガ4Sやカブリオレ4Sといった4輪駆動モデルが存在します。
また、997型911はポルシェのモータースポーツにも多数参戦し、数多くの勝利を挙げていることでも有名です。

997型911の前期と後期の違いは?

ここから997型911の前期と後期について各項目別に比べていきたいと思います。

【エンジン】

997型前期エンジン

997型前期には、3.6リッターの水平対向6気筒エンジンと3.8リッターの水平対向6気筒エンジンが搭載されていました。

・3.6リッターのエンジン
最高出力:325ps
最大トルク:370Nm
トランスミッション:6速マニュアルまたは5速Tiptronic S(オートマチック)
搭載モデル:911 Carrera、911 Carrera 4、911 Targa 4、911 Turbo(専用設計エンジン)

・3.8リッターのエンジン
最高出力:355ps
最大トルク:400Nm
トランスミッション:6速マニュアル
搭載モデル:911 Carrera S、911 Carrera 4S、911 Targa 4S

どちらのエンジンも、高回転域での高出力を発揮する水平対向6気筒エンジンで、ポルシェ911シリーズの中でも高い信頼性とパフォーマンスを持っていました。
また、オートマチックトランスミッションもオプションで用意されており、走行性能だけでなく、快適性にも配慮されていました。

997型後期エンジン

997型後期にも、3.6リッターエンジンと3.8リッターエンジンの2種類が用意されていました。

・3.6リッターのエンジン
最高出力:345ps
最大トルク:390Nm
トランスミッション:6速マニュアルまたは7速PDK(デュアルクラッチオートマチック)
搭載モデル:911 Carrera、911 Carrera 4、911 Targa 4、911 Turbo(専用設計エンジン)

・3.8リッターのエンジン
最高出力:385ps
最大トルク:420Nm
トランスミッション:6速マニュアルまたは7速PDK(デュアルクラッチオートマチック)
搭載モデル:911 Carrera S、911 Carrera 4S、911 Targa 4S、911 GT3、911 GT2 RS

どちらのエンジンも、高い回転数で高出力を発揮する水平対向6気筒エンジンであり、ポルシェ911シリーズの中でも高い信頼性と高性能を誇っています。
また、オートマチックトランスミッションとして、従来のTiptronic Sに代わり、より高性能な7速PDK(デュアルクラッチオートマチック)が採用されました。
これにより、よりスムーズなシフトチェンジと高い走行性能が実現されました。

特に911 GT3や911 GT2 RSなどのモデルに搭載される3.8リッターエンジンは、レーシングカーと同様の高性能なエンジンであり、
高回転域での高出力を発揮します。また、後期モデルでは、環境に配慮し、排出ガス規制にも対応するよう開発されています。

【トランスミッション】

997型前期のトランスミッション

997型前期では、6速マニュアルトランスミッションが標準装備されており、
オプションでTiptronic Sと呼ばれる5速のオートマチックトランスミッションが用意されていました。

Tiptronic Sは、手動モードと自動モードの両方をサポートしており、パドルシフトを使用して手動でシフトチェンジすることもできました。
また、Tiptronic Sにはスポーツモードもあり、シフトタイミングが最適化され、よりスポーティな走りを楽しむことができました。

997型後期のトランスミッション

997型後期では、6速マニュアルトランスミッションが標準装備されており、
オプションでPDK(Porsche Doppelkupplung)と呼ばれる7速のデュアルクラッチ式オートマチックトランスミッションが用意されていました。

PDKは、瞬時にシフトチェンジができるため、マニュアルトランスミッションと同等のスポーティな走行性能を発揮します。
また、PDKにはスポーツモードやスポーツプラスモードもあり、よりスポーティな走りを楽しむことができます。
さらに、PDKはエンジンブレーキを自動制御することができ、高速コーナーでの安定性や操作性を向上させることができます。

997型後期のPDKは、997型前期のTiptronic Sに比べて高性能かつ快適なトランスミッションとして注目されました。

【外装デザイン】

997型前期の外装デザイン

997型前期の外装デザインは、先代の996型からの進化を感じさせる独特のデザインが特徴的でした。
フロントエンドは角ばったライトとポルシェ伝統のラウンドシェイプを融合させたデザインとなっています。
また、後部にはLEDテールライトが採用され、走行中の視認性が向上しています。

997型後期の外装デザイン

997型後期では、前後バンパーやヘッドライト、テールライト、リアエンジンフードなどが変更され、よりモダンでシャープなデザインになりました。
特に、新しくデザインされたLEDヘッドライトは、従来のヘッドライトよりも鮮明で高級感のある印象を与えています。
また、フロントバンパーもよりスポーティで洗練されたデザインとなっています。
リアエンジンフードには、より大きなエアアウトレットが採用され、エンジンの冷却性能が向上しました。
また、テールライトには、LEDテクノロジーを採用し、より高級感ある印象を与えています。

997型前期と後期では、フロントマスクやリアデザインが変更され、よりスポーティで洗練されたデザインに進化しています。
また、997型後期では、より高級感のあるLEDヘッドライトやテールライトが採用されたことで、高級感のある印象となりました。

【サスペンション】

997型前期のサスペンション

997型前期のサスペンションは、996型と比較して大幅に改良されたもので、前後にマルチリンク式サスペンションが採用されています。
特に、リアサスペンションには、ロアアームを2本に増やすことで剛性を高め、乗り心地の向上と安定性の向上に貢献しました。
また、997型前期では、ポルシェアクティブサスペンションマネジメント(PASM)がオプションで用意され、ダンピング力を自動的に制御し、
よりスポーティなドライビングを可能にしました。

997型後期のサスペンション

997型後期のサスペンションも、前後にマルチリンク式サスペンションが採用されています。
しかし、リアサスペンションには、997型前期と比べてさらに改良が加えられ、より高速コーナリング性能が向上しています。
また、997型後期では、PASMが標準装備となり、運転モードに合わせたダンピング力を自動的に制御することができます。
さらに、オプションでスポーツサスペンションやポルシェダイナミックシャシーコントロール(PDCC)を選択することができ、
よりスポーティで快適なドライビングを楽しむことができます。

997型後期では、特にリアサスペンションに改良が加えられ、高速コーナリング性能が向上しているほか、
PASMが標準装備となっており、運転モードに合わせたダンピング力を自動的に制御することができるなど、
より高性能でスポーティなサスペンションとなっています。

【インテリア】

997型前期のインテリア

997型前期のインテリアは、ポルシェのスポーツカーらしい機能的でスポーティなデザインとなっています。
ダッシュボードやドアトリムには、アルミニウムやカーボンファイバーなどの素材が使用され、高級感とスポーティさを両立しています。
シートはレザー仕様が標準で、オプションでアルカンターラやスポーツシートが用意されています。
また、オプションでボーズサウンドシステムやナビゲーションシステムが選択可能でした。

997型後期のインテリア

997型後期のインテリアは、より高級感があり、デザインが一新されています。
ダッシュボードやドアトリムは、より柔らかく滑らかな素材が使用され、高級感を強化しています。
シートには、スポーツシートやレザー/アルカンターラのコンビシートが用意され、よりスポーティな印象になりまた。
また、ナビゲーションシステムやBOSEサウンドシステムが標準装備となり、より快適なドライブが可能になっています。

さらに、ポルシェコミュニケーションマネージメント(PCM)も改良され、より直感的で使いやすい操作性が提供されています。

997型前期と比較すると、997型後期は、より高級感があり、デザインも洗練されたものになっています。
さらに、オプションや標準装備も充実し、より快適なドライブが可能となっています。

997型前期と後期の中古車相場価格は?

997型前期の中古車相場価格

997型前期の中古車相場価格は、以下のような要素によって大きく異なってくる可能性があります。

・車種やグレード、年式、走行距離などの車両の状態
・カラーやオプション装備などの付加価値
・地域や販売店による価格設定の違い

そのため、一概に相場価格を述べることはできませんが、一般的には以下のような価格帯が見られます。

・997.1 Carrera:300万円~500万円程度
・997.1 Carrera S:400万円~700万円程度
・997.1 Carrera 4:400万円~600万円程度
・997.1 Carrera 4S:500万円~800万円程度
・997.1 Turbo:700万円~1000万円程度
・997.1 GT3:1000万円~1500万円程度

997後期型の中古車相場価格

こちらも同様に一概に相場価格を述べることは難しいですが、一般的には以下のような価格帯が見られます。

・997.2 Carrera:500万円~800万円程度
・997.2 Carrera S:600万円~1000万円程度
・997.2 Carrera 4:600万円~900万円程度
・997.2 Carrera 4S:700万円~1100万円程度
・997.2 Turbo:1000万円~2000万円程度
・997.2 GT3:2000万円~3000万円程度

上記の価格帯は、あくまでも参考程度に考えていただき、車両の状態やオプション装備などによって価格が大きく異なることをご理解ください。
また、中古車市場においては、需要と供給のバランスや市場の状況によって価格が変動するため、現在の相場価格を確認するためには、
中古車販売店やオークションサイトなどで情報を収集することをおすすめします。

まとめ

以上が997型前期と後期の違いになります。
997前期と後期にはそれぞれメリット・デメリットがあります。
価格が比較的安い997前期は、クラシックなデザインを好む方や、スペックや機能よりもデザインやコストパフォーマンスを重視する方にはおすすめです。

一方で、より高性能で内外装に洗練された997後期は、より高級感を求める方や、将来的に売却する可能性がある方にはおすすめです。
ただし、中古車市場において997後期の需要が高く、価格が高騰している傾向があるため、購入にあたっては価格をよく検討することが必要です。

今回は997型前期と後期の違いから、どちらが良いのかを検討しましたが、911にはたくさんのグレードがあるので、
また別の記事ではグレードの違いから比較できたらと思っています。